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7%は革新発展の道への新しいスタート

発表時間:2015-08-31 | 字体拡大 | 字体縮小

著者:張平 | 出所:光明日報

2015年の上半期、中国の経済成長率は7%となり、これは中国経済が革新発展の道への新しいスタートである。現実から見れば、2015年、中国の経済は非常に強い二面性を呈し、一方では、在来企業は改革せず、技術改良と産業革新・グレートアップをしなければ、活路が見出せないが、他方で、多くの新興産業、インターネット+、新商業モデルのイノベーション型小企業は迅速に発展し、それらは既存資源を再編して、資本市場の後押しの下で急速に成長した。実質に、中国経済は大きなパターン転換の摩擦の中にあり、電力などの消費指標から見れば、成長が緩やかになるが、伝統的な統計はイノベーションの作用が含まれていなかったし、2008年、世界銀行が改正されたGDPの新たな計算の中で知的所有権、R&D、資源貸出し、従業員のストック・オプションなどを導入した新しい指標の計算から見ると、中国経済における革新・探求は真のものであり、しかも急速に発展を遂げている。2015年は中国経済の大きなパターン転換の元年であると予想することができること、これについて理論の上で認識する必要がある。

「罠」を克服する肝心なことは革新である 

20世紀50年代、学界は「貧困の罠」( poverty trap)」について集中的に探求を行い、貧困の罠はマルサスの罠と言われて、つまり人口は自然な生産力を中心に変動しており、自然力の束縛を抜け出せず貧しい状態にあった。産業革命後、人々は自然力の制約を抜け出し、人口が増え、富裕さは高まり、マルサスの罠を打ち破り、後発国は現代の工業部門を取り入れて、二元経済構造の中から貧困の罠を克服し現代化に向かい、中国はみごとに貧困の罠を克服した国家であるが、世界でなおも多くの国家がこれを克服し難い。新世紀に入って、世界銀行はグローバルな経験の統計により「中所得国の罠」を提起し、当面は主として東アジア諸国と地域が中所得の罠を克服し、みごとに先進国に転換したと思い、ラテンアメリカの圧倒的多数の国家は今なお罠の中でうろついて、これを克服する必要がある。現在、先進国は自ら「高所得の罠」の理論をうち出し、先進国が長期にわたり停滞状態に入ったと考えている。 

実際には、規範的な経済成長理論は、すべて経済要素が効用逓減の法則( law of diminishing marginal utility)の作用を受け、経済成長が逐次バランスの取れた軌道の中で収斂するようになると仮定している。したがって、経済発展はいかなる段階でも「成長停滞」問題にぶつかるであろう。技術進歩しか外生的ものと仮定しないので、バランスの状態を突破するには技術革命と革新を通らなければならず、革新の駆動への激励は市場競争から生み出すものである。 

2008年米国の金融危機後、多くの経済学者は「長期停滞」理論と「新カルドー様式化された事実(Kaldor Stylized Facts) を討論し始めた。学者らは次のことを発見し、より多くの革新要素を通じて「カルドー様式化された事実」のうち出した生産要素が均衡経路に収斂する問題を突破することができる、と。当面国内外において中国の経済成長の平均値回帰理論の論理を討論するのは、カルドー様式化された事実(Kaldor Stylized Facts)により提起された均衡経路理論を源としている。「カルドー様式化された事実(Kaldor Stylized Facts)」と異なって、「新カルドー様式化された事実(Kaldor Stylized Facts)」は一般的新しい技術開発を強調する外、多くの新しい成長要素がスケールメリット逓増の特性を呈し、例えば情報、知識、教育、アイデア共有、制度などの新しい供給要素、それらは新しい技術イノベーションをもたらすだけではなく、自らも生産と消費の中での重要な構成部分となり、よって知識の生産と知識の消費をさらに一体化させて、それによって経済を押し上げてボトルネックを突破する重要な方面となる。 

同時に、知識の生産と関わる新しい統計体系もフォローアップし始めた。世界銀行は2008年、新しいGDP計算SNA体系を出し、1、最も重要な「法定所有財産権」と「経済所有者」の概念を取り入れ、実際の使用者がリスクを受け負い、収益を享受する計算を非常に重視している。2、知識財産権の製品をGDPの中に組み入れ、もともとコスト項目の研究開発、資源調査、データベースなどをGDPの付加価値項目となり、人々の精神面において享受する多くの製品が消費項目から供給項目に組み入れた。3、「従業員のストックオプション」を導入したので、オプション・アカウントと労働報酬体系を一致にし、人的要素を体現させ、もとの資産収益を人力の資本による所得となった。4、資源のリースを導入し、実際の運用者の利益を保護する原則を体現した。こうしたことは明らかに、新しい採算体系は革新による駆動を強化し、知識財産権の生産、人力の資本は現代経済のパターン転換の根本であると考え、伝統的な資産所有権の概念はより軽く受け止められた。 

現在、中国ではたくさんのイノベーション企業が盛んに発展し、創業の雰囲気は高まり、たとえば世界のインターネット企業の時価ランキング10社の中で、4社が中国企業である。中国において現在のR&D、教育、アミューズメントへの支出はいずれも急速に伸び、これらの新しいパターン転換はいまだ既存の統計の骨組に組み入れにくいが、学者らはすでにつぎのことに気づき、過去と比較し、同じ成長率には異なった成長の質と革新の内包が含まれていると。これからも、われわれは革新、創業を通じて旧い経済を統合し、成長の足踏みを突破するか、それとも絶えずお金を投入して「倒れ掛かった瀕死企業」を救助し、新しい経済のコストを引き上げ、新経済を古い伝統的体系の下へ引き戻すかは、これ問題のキーポイントである。 

リバランスの中で経済のパターン転換を実現する 

2012年以来、中国経済の成長は減速し、今年上半期の成長率は7%であり、PPI(生産者価格指数)は3年連続マイナスであり、潜在経済成長理論によれば、中国経済の現在の成長率は潜在成長率より低くなり、マイナスの産出が現れて、生産者価格指数の下降をもたらした。一般に言えば、潜在成長率より低い経済成長率の釈明にあたり、ほとんど外部からの衝撃を探求し、つまり国際経済からの衝撃により経済の実質成長率が潜在成長率より低くなることにつながったと考えている。ご周知の通り、2008年、米国は世界金融危機の引き金を引いて、中国は積極的な財政政策を出動して対応した。2010年のヨーロッパの債務危機で、中国は金融緩和政策を実施し、経済成長率と潜在成長率の一致するレベルを維持した。しかし現在、世界経済が低迷し続け、改善が見られず、これにより中国の危機対策を改め、反危機の短期政策を長期化させないようした。2014年以来、中国は進んで成長率の所期を引き下げ、新常態(ニューノーマル)の経済理論と政策をうち出し、世界経済が長期にわたった低迷による中国への衝撃に積極的に対処し、中国経済のパターン転換のために余地を残した。 

中国経済は国際から外部による衝撃だけでなく、国内は積極的なパターン転換に取り組み、特に炭素排出の軽減に迅速に進展し、在来産業のパターン転換を推し進めた。経済採算の角度から見れば、炭素排出の大幅低減は段階的な外部の衝撃であり、生産関数モデルによって計算すると、年間の衝撃は0.5~1ポイントを上回っている。 

世界経済の低迷と国内の炭素排出低減に積極的に対応するという2つの段階的衝撃の下、2015年上半期、中国経済の7%の成長率は確かに容易なことではなかったし、これは経済のパターン転換のための余地を生み出した。 

世界経済は過去50年間、28回の経常収支の黒字逆転を経験し、国際通貨基金(IMF)は多くの国家と地区の経験の分析と実例の研究により、次のことを発見した。リバランスごとに同国のパターン転換の重要な時間枠である。1、経済成長はリバランスにより約0.3~1.2%低減する。2、構造調整は加速され、その中で最も積極的な貢献は投資によるのであり、平均的に3.3%に達し、個人消費は0.8%引き上げ、貿易収支の黒字を促進する役割は明らかに下がる。3、産業と就職構造は改めて調整し、非貿易部門は、たとえば、サービス業の産業におけるウェートは向上し、貿易部門と非貿易部門の就職は改めて配置される。4、革新は加速され、ミドル・ハイテクのウェートが著しく向上され、同国の経済は分業のグローバル・バリューチェーンにおける地位は向上された。 

明らかに、経済のリバランス過程は経済構造の調整とイノベーションを促進することができる。2014年以来、中国経済の新常態は上述の構造転換の特徴を十分に体現していた:中国経済は国際経済不振の衝撃を受け、経済成長率は潜在潜在成長率より0.5%以上低かったし、積極的な投資拡張により需要の縮小を緩和し、経済成長を安定させている。経済構造調整の面でさらに積極的に取り組んで、サービス業の比重は明らかに大きくなるとともに、就職を大量に受け入れ、技術進歩が加速されている。 

潜在成長率の計算から見れば、伝統的生産関数に基づき、中国の要素累積能力の下落は客観的であるが、新しい要素供給理論によると、もし、より多くの資源を合理化した制度設計を提供し、人力の資本を向上させ、研究開発への投入を増大し、技術の進歩を推し進め、知識の生産と消費のインタラクティブを促進し、インターネット+などの新しい要素はスケールメリット収益逓増の実現を推進すれば、伝統的資本と労働要素のスケール・デメリット逓減を相殺し、新しい経済成長スポットを形成する。したがって、もし改革により経済成長の活力を解き放てば、新しい要素の供給を大幅に向上させ、革新による貢献を絶えず高めて、中国は順調に中高所得国のレベルに達することができるであろう。要するに、イノベーションは経済が高い質的な発展を実現するカギであり、これは経済体制改革を全面的に深化ずる必要がある。 

経済のパターン転換のための体制と政策選択 

中国経済のパターン転換の中核は経済体制改革を全面的に深化することで、その中で最も重要なのは市場に資源配置における決定的な役割を果たさせることであり、革新による駆動を市場から十分に激励されるようにすることである。同時に、マクロ政策の安定化する役割を発揮させ、金利、税収、ターゲット・コントロール(対象を特定した調整)の面で革新とパターン転換を積極的に後押しする。 

一、市場による資源配置の制度改革を全面的に進化させるべきである。政府が長期にわたり資源配置を関与する枠組みを打ち破り、市場に資源を配置させる。1、政府は機能を改め、確実に行政を簡素化し、権限を末端へ委譲し、行政と企業を徹底的に分離させる。2、統一市場をできるだけ早く形成するよう促進し、より高い段階の開放、つまり生産要素市場の開放を重点的に解決し、資本市場、人員の移動、インフラ、情報などの分野の分割問題を解決する。3、行政管理体系の「タテ割・ヨコ割」の現状を打ち破り、分業の深化と革新のスピルオーバー(溢出)を促進する。4、法治を強化し、市場経済の秩序の規範化をはかる。 

二、改革を通じて既存能力を解き放つ。これから科学・教育・文化・衛生事業体のパンターン転換と改革を加速するべきで、サービス業の発展を推し進める。現在サービス業の発展がかなり速くなるが、その多くは効率のわりに低い業種であり、制造業とサービス業の労働生産性は倍以上に違っている。その主な原因は中国の現代サービス業の主体の一部分が事業体にあり、たとえば、科学・教育・文化・医療・衛生のよう諸分野、ほかの一部には厳格な規制があり、例えば電気通信、金融、鉄道、水上運輸と多くの公共サービス部門(例えば、水・電気・ガス供給と汚染物質排出など)である。これらのサービス業部門は先進国経済体を基準に計算するとほぼサービス業の総価値の80%以上を占める。事業体改革と規制緩和を結び付けて、中国の現代サービス業の既存能力を解き放ち、こうしたことが極めて重要である。 

三、地方債務のリストラ、インフラ投資の積極性を保護し、財政租税改革を推し進める。ここ数年来中国の地方政府は大がかりに借入れ資金調達し基本建設を行い、多くの重要なインフラ資産を形成し、教育、文化、医療・衛生・保健などを含んで、これらの資産は短期の収益率が低くて、キャッシュフローに弱い、しかし人力の資本の向上に関わっており、中国経済のパターン転換の根本である。これについて、中央政府はプロジェクトの期限、収益率、プロジェクトの経済外部性と機能的特徴に基づいて、低金利の長期特別国債を発行し、地方の社会インフラの資産を購入し、地方政府の債務負担を軽減し、地方政府の行政と資源の配置方式の改革を推進する。財産税の改革により、工業企業の付加価値税を主とした税制を消費、収入・所得、財産保有の部分の直接税を主とする税制への転換を促進し、地方政府の生産的投資へ偏る税収の激励を弱める。 

4、金融改革を推し進め、資源の配置方式の根本的なパターン転換を行う。銀行の信用貸付で規模的発展を推進する資源配置の方法から、資本市場による資源配置の方式へ次第に転換し、「創造能力」の発展を推し進める。 

(作者、中国社会科学院経済研究所副所長)

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