ご意見・ご感想

政府情報の公開における区分性の原則

発表時間:2014-04-22 | 字体拡大 | 字体縮小

著者:黄偉群 | 出所:『中国共産党中央党校の学報』2013年第5号

  行政機関の保有する情報(政府情報、以下、行政情報と略)を公開することは、別に、すべての行政情報が公開できるわけではない。場合によって、行政情報の一部は国家機密、商業秘密、プライバシーなどに関わっている。これらの情報をいったん公開すれば、国家の安全保障、公共安全、経済安全、社会の安定に危害が及ぶこととなる。こうした行政機関情報を如何に区分・処理するかは、一般の状況において「公開情報の例外として除外する」という区分性の原則を適用すべきである。

  一、行政情報の公開において、区分性の原則とは開示が請求される行政情報には一部の公開すべきでない内容が含まれていることを指す。行政機関は法律法規に基いて、削除するもしくは遮蔽するなどの技術的手段を運用して、秘密情報の内容を守りながら、公開できる情報の内容を開示する。情報開示の適用除外項目に基いて設立されるこの特殊な規定は、また区分性の原則もしくは分割性の原則と言われている。この原則に基いて、合理的に区分され、秘密保持とすべき行政情報が削除されてから、非秘密である行政情報を開示申請者のいかなる人にも提供すべきである。

  区別性の原則は行政情報の公開は「公開することが原則であり、不公開が例外とする」という立法の趣旨を具現している。国家機密、商業秘密、プライバシーを保護するの前提の下、市民の知る権利と情報のアクセス権利を最大限に保障するとともに、行政機関の情報公開の義務と職責の履行を規範化し、その自由に裁量する権限を規制する。区分性の原則は、情報秘密の保護より情報の知る権利を保護する価値がより高い。その実質は政治がオープンに行い、市民の監督を実現することである。レーニンの認識では「大衆があらゆることを知っていて、すべてを判断することができるとともに、意識的にすべてに従事するようになれば、はじめて国家は力を持つようになる」。[1]アメリカ『情報自由法(The Freedom of Information Law)』の実施する前夜、在任の法務部長のランシ・クラークは次のように書いた、「もし政府は人民が真に有産階級となり、人民によるガバナンスを実行し、人民がしかるべき権利をもつようにするには、人民は必ずその活動を詳しく知らなければならない」[2-1] 。

  二、欧米諸国において、資本主義社会の繁栄に伴い、行政情報の開示について区分性の原則の実行は深い歴史的由緒がある。区別的原則は1766年に端を発した。スウェーデンが制定した『出版自由法』には例外としての情報を区別・処理する問題がかすかに含まれていた。その第2章「公文書の情報公開性について」第8条の規定は、「一部の内容を秘密保持する必要がある文書について、もし秘密保守の部分に関わった問題が漏れなければ、依然としてこの文書の保管所でアクセスできる」。現代的な行政情報の公開制度は、1966年正式に確立された。同年、米国が『情報自由法』を制定し、翌年にその主要項目は『合衆国法典(United States Code,U.S.C.)』に盛り込まれた。

  その第5編第552節(b)(9)の規定は「記録の中でいかなる合理的に区分できる部分を請求者に提供すべきであるが、ただし本節の規定に定められる非開示の部分を削除すべきである。後件の削除に基く説明が後件に対する保護する利益にマイナスにならない限り、削除した情報の総字数を公開する部分に記録すべきである。もし技術的に実行できれば、削除された内容についての説明を削除された箇所に書き留めるべきである」。[3] アメリカ『情報自由法』(1974年修正案)では、初めて行政情報開示の区分性の原則を明確にし、「行政機関は公開する情報と非開示情報が同一の文書にある場合、非公開部分の削除後、残りの部分を公開すべきである」と規定した。[2―2] 2001年、EUの制定した『欧州議会、委員会、理事会の文書の公衆のアクセスに係す規則(第1049/2001号)』第4条第6項目の規定は「もし開示請求される文書の一部だけが非開示範囲にに属する場合、この文書の残りの部分は公開すべきである。」[4―1]翌年、欧州理事会部長委員会は政府の公文書のアクセスに関して構成国に対する2002年第2号提案の第7条第2項目の規定は「もし政府の公文書の一部の情報は規制の要求に適用する場合、公共機関は依然として文書に含まれる残りの一部の情報へのアクセスに同意すべきであるうえ、いかなる削除でも明確に説明すべきである」。[5]

  わが国では、行政情報の公開が遅かったが、その制度デザインの進捗は非常に速かった。かねて1995年から、中国香港の香港・イギリス当局はすでに『資料公開マニュアル』を制定した。その第1.13条最後に1項目の規定は「資料はできるだけもとの形式で提供する。記録にはもしくは一部の資料は公表してはならない場合、通常残りの部分は依然として公開することができる。」[4―2]2005年、中国の台湾『政府情報(資訊)公開法』第18条最後の1項目の規定は「行政情報は右の各項目では開示規制で提供しない事項のものが含まれる場合、その他の部分だけ開示するもしくは提供すべきである。」2008年5月、中国は正式に『政府情報公開条例』を正式に実施する。その第22条の規定は「公開請求する行政情報において公開すべきでない内容が含まれるが、区分・処理できる場合、行政機関は公開できる情報の内容を請求者に提供すべきである。」[6―1] 同年、国務院弁公庁『<中華人民共和国政府情報公開条例>の施行に関する若干の問題の意見』は以下のように踏み込んで説明し、国家機密にかかわる部分の内容を区別・処理する。その第三条第(7)項の規定「主な内容は公衆が広範に知られるもしくは参与すべきものについて、その中に一部の内容は国家機密にかかわる行政情報を、法定の手続きをふまえて機密を解除するとともに秘密にかかわる内容を削除してから、開示すべきである。」[6―2]2011年8月、最高人民法院(最高裁)『政府情報公開行政案に関する若干の問題の規定』第9条第3項目の規定は「人民法院の審理により、被告側が公開しない行政情報の内容が区分・処理することができると認定される場合、被告が期限づきで公開できる内容を開示すると判決すべきである」。[6-3]

  三、区分性の原則は行政のすべての例外としての情報に適用し、国家機密、商業秘密、プライバシーおよびその他の敏感な内容に関わる情報が含まれる。行政情報公開する過程において、異なる情報の機密関連性に対して、法律に基いて区別して処理すべきである。

  (1)国家機密。『秘密保護法』およびその関連法規・規則に基いて行政情報が国家機密であるかどうかを定義する。こうすれば、更に機密関連の範囲、レベル、秘密保持期限が確定される。国家機密の公開は禁止である。しかし、公衆が広く知らせるもしくはあまねく参与すべき主要内容となれば、法定手続きをふまえて機密を解除するうえ、開示しない内容を削除してから、機密に関わらない部分は公開することができる。機密に関わる行政情報の区別・処理について、主として2つの情況があり、一、国家機密が秘密保持期間にある。国家機密事項の秘密を繰上げて解除し、秘密レベルを定める機関、部門もしくは上級機関から直接秘密の解除を決定する。繰り上げて秘密を解除するには、必ず当該事項の公開後、国家利益を損なわず国家の全局により有利な原則に則って行わなければならない。二、国家機密はすでに秘密保持期限が満了する。規定により審査されてから、秘密保持期限を延長しなければならない場合、改めて秘密保持期限を定めるべきである。秘密解除の条件に適う場合、秘密解除と批准手続きの履行後、いち早く公開すべきである。もし当機関部門が作成した文書・資料による秘密ではない場合、文書、資料作成機関に意見を求め、同意を得た上で機密関連内容と秘密レベルの標識を削除してから開示する。

  (2)商業秘密。わが国はもっぱらの商業秘密法がない。しかし、『刑法』第219条、『不正競争禁止法』第10条第3項目、最高人民法院の『<中華人民共和国民事訴訟法>の適用に関する若干の問題の意見』と国家工商行政管理総局の『商業秘密侵犯行為の禁止に関する若干の規定』などの法律法規は、いずれも具体的な規定がある。行政情報に属する商業秘密は、上述の規定によって区分・処理すべきであり、商業秘密の「非公開性、実用性、機密性」の特徴によって裁定を行う。『政府情報公開条例』は、それに応じて例外としての情報を不開示と定め、商業秘密の所有者の権益を保護する狙いである。米国において、行政機関が商業秘密情報を公開するか不公開かを決定し、まず公共利益を考慮する。公共利益に合って、はじめて私的利益を保護させる。裁判所の諸判例は次のことを物語っている。公益的目標は基本的な社会価値志向に属する。企業もしくは個人の商業秘密、機密の商業情報を保護することは、あくまでも公益の目標[8]に限られている。わが国で、商業秘密の公益の目標に関連するかどうかについて司法審査にあたっては、行政機関は書面で第3者の意見を求めなければならない。第3者は商業秘密に関連すると公言されれば、行政機関は通常機密関連の商業情報の開示を拒絶する。

  (3)プライバシー。一般に言えば、プライバシーは市民は他人の知りたくないもしくは公開されたくない個人の秘密であり、自然人が独自の、しかも公共利益に関係しない個人情報である。プライバシー権は個人が支配している、しかも他人と分かち合わず割り当てない、私的なイベントと私的領域関連情報の人格権[9]である。現代国家ではほとんど立法を通じてプライバシーを保護している。現在、わが国はまだもっぱら個人情報保護法がないが、民法、刑法、治安管理処罰法などの関連法律は一部の規定を設けた。『政府情報公開条例』の規定は、公共利益に大きな影響を及ぼすプライバシーについて、権利者の同意を得て、公開することができる。もし権利者は公開に賛成しない場合、一般に公開してはならない、確かに公開しなければならない場合、十分な理由があるべきであるうえ、正式の書面・文字の形で権利者に公開すべき理由を説明する。こうした方面で、国際通行している保護的やり方は、名前、誕生日およびその他の識別できる特定の個人情報などを削除することである。

  (4)敏感な情報。非開示とされる行政情報の中で、「作業秘密」、「過程の情報」、「会議覚書」、「歴史情報」などは、根拠がなければ、基準はなくて盲目的な部分がある。公開するかどうかは、いっそうの規範化を待たねばならない。例えば、「作業秘密」について、『公務員法』第12条の規定は、公務員は「国家機密と仕事上の秘密を保守する」義務を履行するべきである。第53条の規定は、公務員は「国家機密を漏洩するもしくは仕事上の秘密を漏洩する」行為があってはならない。『検察官法』と『裁判官法』などの法律は類似する秘密保持の規定がある。だが、法律用語として、仕事上の秘密は一体どのように定義するかは、法律として欠如で、関連している司法的な解釈がない。実践の中で、仕事上の秘密の範囲について、普通各級党と政府機関から自ら確定することとされている。また例えば、「過程情報」である。いかなる情報の形成する過程においてもつねに陳述的意見と評価的意見が見られている。市民は行政情報の公開請求をすれば、開示義務を持つ行政機関は、請求対象の情報は過程的情報だと考えている。もし全面的に公開を拒絶すれば、疑いもなく公衆の知る権利を損なうのである。

  行政情報公開の実施過程において、区分性の原則に基く区分作業の工程は大体次の四つの階段が含まれ、第一段階は、請求の受け付け。請求者は行政情報関係内容が分からなければならない。だが、一般公開する情報のルートでは必要な情報を得ることができない。そこで、請求者は行政機関に情報公開を請求する、もしくは請求者は行政機関の裁定に不服申し立てをし上級機関に行政再審議を申請し、また司法機関に行政訴訟を提起することができる。この時、受理機関は開示請求者の請求を受ける。第二段階、内容の審査。行政機関は開示請求者の請求を、法律法規に基いて内容の審査を行い、開示請求の行政情報に「公開すべきない内容を含むが、区分・処理することができる」 かどうかを裁定する。もし区分して処理することはできなければ、これを開示請求者に告知するとともに、不開示事由を説明する。もし区分・処理することができれば、次の手続きに入る。第三段階、区分・処理。行政機関は法律に基いて削除したり遮蔽したりする技術的手段を運用し、「不開示とする内容を含むもの」を区分・処理し、機密に関わる情報を保護するとともに、開示できる情報を公開すべきである。司法機関が法律に基いて開示請求の情報の判定を行い、もし区分・処理することができれば、被告に開示請求者に公開できる行政情報を提供することを判定するべきである。第四段階、情報の提供。行政機関は開示請求者に区分・処理ずみの行政情報を提供するとともに、書面で開示請求者に告知するうえ、区分・処理事由を説明する。

  四、例外としての情報の不開示に関する区分性の原則を実行するには、政府が実施するキーポイントを的確に捉えなければならない。

  (1)元の機密関連情報を引き続き保護する。区分性の原則は秘密保持原則を踏まえてうち立てた。公開と秘密保持は行政情報公開制度の基本的テーマである。国家にとって、情報公開は政府の透明度と信認度を高めるが、不当に公開すれば国家利益に危害を及ぼし政府の機密関連情報の所有権を侵害してしまう。政府は国家の安全保障、公共利益、個人の合法的権益を守る責任があり、国家機密や商業秘密、個人情報関連内容を審査する義務がある。政府は情報の公開にあたって、もし公文書の公開を必要とする場合、資料に国家機密標識が付いてあれば、その標識を削除するべきく、秘密解除の表示を明かにしてから、初めて開示するのである。つまり、政府が公開するあらゆる情報の中で、すべての関連文書、資料には国家機密の標識が現れてはならない。国家機密担当機構はもっぱら機密関連情報を区分して処理する。

  (2)情報の区分するキーポイントは「区分・処理できる」。いわゆる「区分・処理できる」とは、情報内容が「区分することができる」と技術的手段で「処理することができる」ことが含まれている。こうした両方からの必要において、「区分することができる」とはこの部分の情報内容があとの一部の情報内容と区別することができるということであり、「処理することができる」とは不公開と公開すべき2種類の情報が互いに切り離すことができることである。切り離す後、もと情報の秘密性は引き続き保護され、公開できる内容が開示される。下記の三種類の状況は例外としての情報を不開示の区分性の原則を適用しない。一、情報が交差して混ぜ合う。もしある不公開すべき行政情報は内容を区分することができず、情報のいかなる一部の内容を提供しても当事者が情報の全部の内容[10]が知られるようになる。二、情報は不完全で欠落があり、区分・処理後の情報の内容がばらばらになり、開示請求者は提供される情報の内容によって正しい判断を作り出すことができない。三、情報がすでに公開された。区分・処理後、元情報の秘密性を保護するが、区分された情報はすでに公開したことがあり、もしくはデータ、文字などの内容は参考になる基準とはならない。

  (3)区分性の原則は行政上の義務である。区分・処理できる行政情報は、国家機密や商業秘密、個人のプライバシーが漏れない限り、行政機関はいつも開示情報の内容を公開請求者にタイムリーに、正しく提供すべきである。司法機関は行政機関が「区分・処理する」義務を履行するかどうかを審査することができるとともに、原告が明確に開示請求をした下で、もしくは原告が開示請求を出していない場合、「区分・処理する」職責を行使することができる。しかし、裁判所(法院)が原則として国家機密の解除や機密関連内容の削除を判定してよいが、区分・処理を直接行ってはならない。審理を経て、もし裁判所は区分性の原則を適用できると認定し、訴えられる行政行為の取り消しを判定するとともに、被告が区分・処理後公開するとの判決を下すべきである。如何に区分・処理するかについては、裁判所は判決中で法律的意見を出すことができる。

  (4)区分・処理方法の多様化。もし文書の中で不公開の情報を引用した場合、改めて処理することができる。行政機関は行政情報のコピーを提供し、不公開情報の内容の削除後、それをコピーすべきである。もし請求者は公開請求の対象が文書における公開情報の部分だけであれば、該当一部の内容[11]を選び取って提供することができる。区分・処理の過程で、必ず次のような二つの状況の発生を防がなければならない。一、区別・処理しないでいること。もし公開・不公開の行政情報を区別・処理しなけば、情報公開訴訟もしくは逆情報公開訴訟を引き起こすこととなるかもしれない。二、区別・処理しきれないこと。もしも公開と不公開の行政情報が混合状態にあり、つまり区別・処理しきれない状況ままで行政情報を公開すれば、同様に同じく情報公開訴訟もしくは逆情報公開訴訟を引き起こすこととなるかもしれない。もし区別・処理していない状況が現れれば、裁判所は被告の敗訴を判決すべきである。区別・処理しきれないが、一般的行政情報にしか関わらない場合、原告の訴訟の申し立ての却下と判決して宜しい。区別・処理しきれない行政情報が請求対象の主体部分もしくは主要部分に関われば、訴えられる具体的行政行為を取り消すべきである[12]。

  (5)結果を開示請求者に告知しその理由を説明する。事案の判決を出す時、司法官が訴訟参与者とその他の利害関係者に争議のある情報内容の区分・処理およびその法律の適用を説明する。わが国『政府情報公開条例』第21条の規定は「不公開範囲に属する場合、公開請求者に告知するとともに、不公開事由を説明するべきである」。米国の『情報自由法』の規定は、行政機関が「個人の身分を表示する詳細を削除することができる。しかし、その都度に書面の形で削除事由を十分に説明しなければならない」、「提出し公表している記録の上でさらに削除した内容を簡潔な説明を付け加えるべきである。もし技術的に実行できれば、内容を削除した箇所に削除する内容の説明を書き留めるべきである」。政府は権力行使の理由を説明するにあたって、具体的に『政府情報公開条例』のどの項目に対応しているかについて、言葉を濁してはならない。部分的に公開・不公開しても必ず書面で告知する形をとらなければならない。

  要するに、行政情報の公開は区分性の原則を実行することは、例外としての情報の存在を前提とするのである。わが国政府の情報公開において例外としての情報の境界定めがはっきりせず、関連法律法規、特に司法救済制度が整備されず、実行にも操作の難さが増している。それにもかかわらず、区分性の原則は一体市民の知る権利と情報のアクセス権利を保障し、行政機関は機密関連の口実で行政情報の公開を拒絶し、公衆の監督を妨げることを防ぐのに役立つ。わが国の社会主義法制整備のさらなる進捗にともない、区分性の原則は行政情報公開における運用はいっそう厳格にし、規範化され、行政情報がさらに開発され、効果的に利用されるよう促進するであろう。

関係論文