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貨幣政策は如何に所得分配を改善するか

発表時間:2014-02-17 | 字体拡大 | 字体縮小

著者:汪旭  李建勇 | 出所:『光明日報』(2014年01月25日07版)

  経済発展において、所得分配が根本的、基礎的な制度である。我が国のモデルチェンジ期における経済構造は、住民所得の分配パターンが企業部門に傾け、住民可支配所得総額の比率が下がりつつある現象を招いてしまった。養老、マイホーム、子供の教育などに備えるための貯金動機が高いため、経済成長を背景に、住民貯金率は依然として増えつつある。こうした住民所得分配の不均衡問題はますます顕著になり、消費者の需要不足を招くだけでなく、経済成長が過度に国外需要に依存することにも陥ってしまっている。世界経済の減速や国外需要の減少に伴い、国内の需要不足は過剰な産能を消耗することができず、不均衡な需要構造を長期的に維持することは、我が国の経済の持続的な成長に有益なものではない。長期的な経済成長を維持するためには、需要の構造を変えることで、国内の消費需要を増やすべきである。これは住民可支配所得を増加させ、貯金動機を減少することを意味する。需要の不均衡な状況はこのまま続くと、外部需要の低下による国内企業の生産が低迷になり、就職難で所得を得る道も改善できないことになってしまう。したがって、需要構造の改善は、所得分配パターンの改善にも有益であるといえよう。

  所得分配を直接コントロールするような伝統的な政策だけでは、将来に備えるための貯金動機を変えることが困難であり、所得分配と需要構造のアンバランスを解決しがたい。需要構造を改善するためには、貨幣政策から始める必要があると筆者は思う。貨幣政策の構造調整は、住民所得分配に以下のような影響を与えることが考えられる。貨幣政策の構造調整を利用して、需要構造を調整させた後、収入のルートを増やし、備えるための貯金を減らし、所得の分配を企業部門から徐々に家計部門へ移行させる。収入のルートが増え、貯蓄率が減少し、家計部門の収入と消費が増えることで、国内の実体経済の需要が上昇した後で、伝統的な貨幣政策を補助的に用い、投資需要を減らし、国内投資消費需要構造の更なる改善を推し進めることができよう。総じて言えば、これは貨幣政策の構造調整効果を通して、需要構造と所得分配の相互的な促進を推進することである。

  貨幣政策の構造調整効果は、産業構造効果、消費構造効果と就職効果に分かれている。

  貨幣政策の産業構造効果とは、貨幣政策が金利などの金融商品を調整することで、貯蓄率及び貯蓄傾向に影響を与え、さらに、資本形成に作用することである。そして、資本形成は産業パターンと就職を通して、所得分配と需要構造に影響を与える。貨幣政策が産業効果を発揮する道は二通り考えられる。第一に、与信政策、または、金融構造を通じて、選択的に産業にサポートや補助金を与え、産業の発展を導くことである。第二に、金利政策は資本の形成に影響を与えるため、金利への反応は業界によって異なっており、金利政策も業界、ないし、産業の差別化反応を引き起こすことができる。

  貨幣政策の消費効果とは、貨幣政策が金融資産パターンに影響を与え、金融資産の価格を変えることで、人類の所有している財の価値に影響し、さらに、消費選択の変化につながることである。貨幣政策が消費者の予期に与える影響は、予想インフレの早期到来を実現し、そして、家計部門の貯蓄と消費傾向にも作用する。消費与える通貨の影響は、また以下の要因により決められる。第一に、消費者信用を得る家計部門の能力。消費者信用の上昇は消費需要の上昇をもたらすが、消費者信用を得る能力には個人差が存在するため、与信政策の調整は消費の変化を必然的に起こすわけである。第二に、都市部と農村部の消費が異なることである。農村部は実物経済の変動が大きいが、貨幣経済の変動が比較的に小さい。農村部は基本的な生活のための消費が都市部より高く、都市部は娯楽のための消費が農村部より高い。そのため、貨幣政策の調整は、農村部に与える影響が都市部ほど大きくない。

  貨幣政策の就職効果とは、貧富の差を調節する就職の機会を作り出すことである。貨幣政策の信用資金が実物経済の領域に入り、民営企業と中小企業の発展を促進し、産出を増やし、実体経済の成長を推進し、消費需要の形成と所得分配の改善に貢献し、貨幣政策の就職効果を発揮できる。以下の二種類の可能性を導くことで、所得分配の改善と消費需要の形成を可能にする。就職に与える貨幣政策の影響は二つの可能性がある。まず、産出を通じて、貨幣政策が価格の変化を引き起こし、国内経済の成長を推進し、メーカーの産出が増える。本位通貨の切り下げで、また、輸出型企業の増産を促進する。しかしながら、商品の想定価格が上昇するため、消費者の需要が減少する。こうした生産側と消費側の需要変化が確定できないため、就職の変動も確定できないものである。つぎに、貸付金資本の流入ルートを通じて、各業界は貸出金利に対する敏感度が異なるため、生産要素投入量も異なってくる。資本の流入は、資本と技術の発展を促し、労働を置換する可能性が生じ、就職率を減少させる。一方、資本流入に伴い、更なる生産能力が生まれ、労働力需要の増加をもたらし、就職率の上昇を促進する。したがって、資本流入が就職率に与える影響の規模と良し悪しも不確定的であるといえよう。

  総じて言えば、産業効果、金利効果及び就職効果が消費の需要に与える影響の程度と変化の方向は、我が国の貨幣政策が所得分配に与える影響を反映することができる。こうした三つの効果を合理的に導けば、我が国の需要構造を徐々に改善し、所得分配を長期的な経済成長に有益なものにすることができる。しかし、これは貨幣政策の構造効果のみを強調し、ほかの政策の役割を否定する意味ではない。将来、政策を実行する中、経済構造を調節する貨幣の役割を十分に認識するのみならず、財政政策や関連するその他の諸政策の相乗効果も発揮させるべきである。産業政策、再分配政策、及び貨幣政策という三種類の効果を組み合わせて使用すれば、所得を高め、消費を向上させることができるはずである。一方、第三次産業と金融市場の発展をサポートし、収入のルートをより増やすこともできる。消費の増加、需要構造の改善は、住民と企業との間の所得分配を改善することにも繋がる。こうした段階的な発展は、需要構造と所得分配が互いに改善を促進し合うことを推し進めていける見込みである。

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