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司法体制改革を深化させよう

発表時間:2014-01-23 | 字体拡大 | 字体縮小

著者:孟建柱 | 出所:人民日報

 党の第18回大会の報告は「司法体制の改革さらに深め、中国の特色ある社会主義の司法制度を堅持し、これを充実させ、裁判機関、検察機関が法律に基いて公正に独立した裁判権、検察権の行使を確保する」と述べている。これはわが党が社会主義民主政治を発展させ、社会主義法治国家の建設を加速させるという高い次元から行った、重要な戦略的配置である。党の18期三中全会で採択された「全面的改革深化の若干重要問題に関する中共中央の決議」(以下、「決議」と略称)は司法体制の改革を深化させるうえでの具体的要求を更に明確にした。党の第18回代表大会の報告と「決議」の精神を深く理解して、真剣に実行することは、社会主義法治国家の建設、小康社会の全面的構築、改革開放の全面的な深化、中華民族の偉大な復興を実現するうえで非常に重要な意味をもっている。

 一、 司法体制の改革を深めることの大きな意味を深く認識する

 わが国の社会主義司法制度は中国の特色ある社会主義制度の重要な構成部分であり、中国の特色ある社会主義事業の司法的保障でもある。司法機関は共産党の政権党としての地位を打ち固め、国家の長期的安定を守り、人民が不安なく生活し、仕事に打ち込めるよう保障し、経済社会の発展に奉仕するという神聖な使命を負っている。当面、わが国の経済社会は急速に発展するという肝心な段階にあるため、様々な矛盾と問題が集中的に現れているだけでなく、チャンスと試練が共に見られ、司法の国家と社会生活における地位、役割、影響はいっそうはっきりとしたものになっている。司法体制改革を更に深化させて、公正で、高効率の、権威ある社会主義司法制度を構築することは、非常に重要な意味をもっているのである。

 (1)司法体制改革を深化させることは法律に基いて国を治めることを全面的に推し進め、社会主義法治国家の建設を加速させる上での肝心な対策措置である。

 党の第18回大会の報告は「法治は国政運営の基本的な方式である。科学な的立法と厳格な法律執行、公正な司法、国民全体の法律順守などを推進し、法律を前にしてだれもが平等であることを堅持して、法律をしっかりと守り、法律を厳しく執行し、違法行為を必ず追究することを保証しなければならない」と強調した。現在、中国の特色ある社会主義法体系はすでに基本的に形成されているが、わが国の法体制づくりには問題がある。それは主に、法律をしっかりと守り、法律の執行を厳格にし、法律に違反すれば必ずこれを追及することが徹底されていないだけでなく、法律に必要な権威が欠けており、法律に対する然るべき尊重とその有効な執行が実現していないということである。したがって、憲法と法律を統一し、それらの正確かつ厳格な実施を保証することは、すでに法律に基いて国を治める基本方策を全面的実行するうえでのカギとなる。公正な、高効率の、権威ある社会主義司法制度を整備することは今後の一時期における法体制づくりのポイントとなる。「決議」はさらに踏み込んで、司法体制改革の深化を法治中国の建設を促進するうえでの重要な内容とした。司法機関は法律執行の専門的な力として、自らが厳格に法律で定られた権限、手続きに則って権力を行使して、公正な司法を保証するきだけでなく、行政機関が法律に基いて権力を行使しているか、公民が法律に基いて物事を運んでいるかを監督し、法律に基いた行政、国民全体が法律を順守するよう促さなければならない。公正な、高効率の、権威ある司法制度を整備することは、法律に基いて国を治めることを全面的に推進する重要な内容であるだけでなく、社会主義の法治国家を建設するうえでの重要な保障でもある。司法体制改革を深化し、裁判機関、検察機関が法律に基いて独立して公正に裁判権、検察権を行使することを確保してこそ、全社会で「権限を行使すれば必ず責任を負い、権力を行使すれば監督を受ける、法律に違反すると追及され、権利の不法侵害には賠償を課す」という法秩序が確立されるのであり、国家の法制の統一、尊厳、権威を着実に擁護することができるのである。

 (2)司法体制改革を深化させることは社会の公平・正義を実現し、社会の調和と安定を擁護するうえでの必然的要求である。

 公平・正義は、司法の生命線であり、社会の調和と安定の基礎でもある。社会の公平・正義を守らなければ、長期的な安定と調和を実現することができない。当面、わが国の社会の大局は総じて安定している。これと同時に、わが国は社会のパターン転換という特別な歴史的時期にあるため、社会的矛盾が多く現れるという局面を短期間で転換させることは難しく、社会の調和と安定に影響を及ぼす要因が多く存在しており、司法が権利救済、紛争収拾の役割を発揮することが差し迫って必要なこととなっている。司法機関が長年にわたって社会の安定を守り、社会問題を解消し、社会が公平・正義を促進するために重要な貢献をしてきたことにより、大衆から広く認められるようになった。しかし、司法が厳格でない、規範に合っていない、公正ではないという問題が依然と存在しているため、コネによって根回された裁判、情実にとらわれた裁判、金次第の裁判といった現象が時おり見らる。それは極めて悪い影響をもたらし、司法の権威を損なった。司法体制改革に更に力を入れて、より深みをもたせて、司法への大衆の信認度を絶えず高めなければならないだけでなく、人民大衆がすべての事件処理に公平・正義を感じるよう、司法が社会の公平・正義を守る最後の防御線になるよう努めなければらない。

 (3)司法体制改革の深化は人民大衆の日増しに増える司法の需要を満たし、人民大衆の根本的な利益を守るために差し迫って必要なことである

 広範な人民の根本的な利益を着実に実現し、しっかり擁護し、うまく発展させることは、司法の取り組みの根本的出発点であり、立脚点である。これはわが党の根本的趣旨、わが国の政権の社会主義的性格により定められたのである。わが国の民主法制度整備が進むにしたがって、公民の権利意識、民主意識は絶えず強まっており、何か起きたら、「法律に照らし合わせ」、「納得するまで問いかける」現象はますます一般的になり、多くの紛争が事件の形で司法の分野に集まり、法律手段は社会関係を調節する主な手段となっている。人民大衆が関心を持っている権益の保障、公共安全、公平・正義という三つの問題は、いずれも司法と密接に関わっている。社会や大衆の司法活動に対する要求はますます高くなっており、社会の安定を守ることを求めるだけではなく、人権を尊重し保障することをも求めている。また、実体としての公正を求めるだけではなく、手続きの公正をも求めている。知る権利、意思表示権の享有を求めるだけではなく、参画権、監督権の享有をも求めている。人民大衆の日増しに増大する司法への需要と司法能力が適応していないという矛盾は、すでに非常に鋭くなっており、この問題をどのように正しく解決するかは、わが党の政権担当能力にとって試練でもある。待ったなし、一刻を争わなければならないという責任感、緊迫感をもって、司法体制改革の足取りを加速させるとともに、司法の公開を深化させ、司法の民主を促進するほか、人権保障の司法制度を充実させ、人民大衆の司法への需要と社会公平・正義への期待に確実に沿うようにしなければならない。

 二、司法体制改革を深めるという主要任務を的確にとらえる

 司法体制改革を深めることは長期にわたって取り組む、きわめて困難な任務のひとつである。改革開放、特に党の第16回大会以来、わが国は司法体制とその仕組みの改革を推し進め、段階的に重要な成果を得て、貴重な経験を積み重ねてきた。しかし、経済社会の発展情勢や民主・法治の進歩、人民大衆の司法への需要と比べると、わが国の司法体制にはまだそれらに適応していない、またはつり合っていない問題がいくつか存在している。司法体制改革をさらに深めて、司法の公正に影響を及ぼし、司法能力を制約する体制的、構造的、保障上の障害を取り除くとともに、現実に立脚し、将来に目を向けて、絶えず中国の特色ある社会主義の司法制度を充実、発展させ、社会主義司法制度の優位性を十分に発揮させなければならない。

 (1)人民法院、人民検察院が法律に基いて独立して公正に裁判権、検察権を行使するよう確保する

 人民法院、人民検察院は法律に基いて独立して公正に裁判権、検察の権を行使することを確保すること、これは、憲法に明確に規定されていることであり、国家の法律を統一的に正しく実施することを保障するうえでのキーポイントである。ここ数年来、社会において比較的よく見られるのは、司法機関のヒト、モノ、カネが地方に束縛されるだけでなく、司法活動が地方保護主義の妨害を受けやすく、それが法制の統一に影響し、司法の権威が損なわれているということである。したがって、「決議」は、裁判機関、検察機関が法律に基いて独立して公正に裁判権、検察権を行使することを確保しなければならないということを特に指摘した。それは主として次の2つの内容がある。

 一、省クラス以下の地方法院(裁判所、以下同じ)、検察院のヒト、カネ、モノについて、統一的管理を推し進める。わが国は単一制国家であり、司法の職権は中央に事務管轄・管理権がある。わが国が長期にわたって社会主義初級段階にあるという基本的国情であることを考慮すれば、司法機関のヒト、カネ、モノを完全に中央の統一管理下に置くのは、まだ一定の困難を伴う。順を追って漸進する原則に基いて、司法管理体制の改革を逐次推し進め、まず省クラスの以下の地方人民法院、人民検察院のヒト、カネ、モノを省クラスの統一管理下に置くようにしなければならない。地方の各級人民法院、人民検察院と専門人民法院、人民検察院の経費は省レベルの財政がプールし、中央財政が一部の経費を保障するようにする。

 二、行政区画を適切に分離させる司法管轄制度を模索する。司法管轄は司法機関の地域管轄と事件管轄を含んでいる。司法機関は行政区画によって設立され、所属の行政区画内の事件を管轄しているため、地方保護主義の妨害を受けがちであった。これと同時に、わが国の地域間の発展はアンバランスであり、各地の司法機関が受け持つ業務量にも比較的大きなギャップがあり、一部の地方の司法資源が遊休化されている。現行の憲法の枠組み内で、行政区画との適切な分離がなされた司法管轄制度の模索から始めるべきである。上級による管轄、集中的管轄に移すことにより、行政事件あるいは地域をまたぐ民事・商事、環境保護に関する事件の審理を行う。

 (2)司法人員の職業特徴に相応しい管理制度を確立する

 わが国は司法人員の募集・採用、選抜、育成、任用などの面で、一般公務員と同じモデルを実行している。わが国の事件は80%末端部にあり、80%の司法人員も末端部にあって、これに加えて司法界の人数が割合多いために、末端部の司法機関は定員超過になりがちで、末端部の司法官、検察官、人民警察の職位が低いだけでなく、待遇も悪く、キャリアアップをはかる余地も限られており、専門的資質を高めるのにマイナスとなっている。これは案件処理の質の向上を保証するうえでマイナスに働く。したがって、「決議」は司法人員の職業特徴に相応しい管理制度を確立するよう求めており主として次のような4つの改革措置を講じるとしている。

 1、司法人員の分類管理改革を推し進めること。司法官、検察官が案件処理において主体的地位にあることを強調するとともに、一般公務員と区別された司法官、検察官の専門職務(あるいは技術職の職階)序列の健全化をはかって、法律の執行勤務機関の警備員の職務序列と警務技術職の序列を改善するほか、書記係、専門技術者などの司法補助係の管理制度の健全化をはかり、司法補助職の定員の割合を制定するなど一連の関連措置をとり、司法隊列の職業化レベルを一段と高める。

 2、司法官、検察官、人民警察の選抜、任用、募集・採用制度を充実させなければならない。初任の司法官、検察官、人民警察の統一的募集・採用、集中的な育成・訓練、末端部の勤務、秩序立った異動、各級ごとの選抜の仕組みを確立する。予備司法官、検察官訓練制度を確立し、予備司法官、検察官の職業・訓練を修了すること、審査に合格することを司法官、検察官任用の法定要件とする。弁護士、法学者などの法律関連の専門の人材を選抜して、司法官、検察官として任用する制度・仕組みを確立する。異なる審級法院の司法官、異なるランクの検察院の検察官については、異なる任用要件を設けて、各級ごとの司法官、検察官選抜制度を実行する。人民警察の募集・採用、育成・訓練制度をさらに改革し、警官学院・大学卒業生の警察官になる割合を大きくする。

 3、司法官、検察官の任免、懲戒制度を充実させる。科学的かつ合理的で、客観かつ公正な業績評価体系と考課・昇進の仕組みを確立する。人民法院、人民検察院は社会の関係者を引き入れて、参与させる司法官、検察官選任委員会、懲戒委員会を成立させ、オープンかつ公正な選抜・任用、懲戒の手続きを定めるとともに、政治的資質の高い、職務の行動規範を遵守する、業務能力の高い、優れた法律面での人材が司法官、検察官陣営入りすることを確保し、司法官、検察官が法律・法規違反行為をすれば、即時しかるべき懲戒を受けるよう確保する。

 4、司法官、検察官、人民警察の職業保障制度を強化しなければならない。職業的特徴からいうと、司法官、検察官は法律の専門知識に精通しているだけでなく、また一定の法務経験と社会的見識を備えていなければならず、国家の司法資格試験と公務員試験に合格し、ある期間の法務作業に従事してから、はじめて任命することができる。職業的リスクからいうと、当面わが国は社会的矛盾が浮き彫りになる期間にあり、矛盾の対抗性、敏感性が強まるため、司法人員、特に人民警察の職業的リスクは大きくなる。既存の司法人員保障制度がその職業的特徴と職業的リスクを具体的に示しておらず、司法陣営の専門化、職業化、制度化建設を進めていくうえでマイナスとなる。責任・権利・利益相互統一の原則に従って、司法人員の任用要件を厳格にし、司法人員の案件処理の責任を強化するとともに、司法官、検察官、人民警察の法律に基いて公正に職責を果たすうえで必要な職業上の保障を提供しなければならない。

 (3)司法権力運用の仕組みの健全化をはかる

 権限・責任がはっきりした司法権力運行の仕組みは、公正な司法、高効率の司法、清廉潔白な司法のための必要な保障である。ここ数年来、司法機関が司法権力運用の仕組みを充実させるべく積極的に多くの模索を行ってきたが、一部の地方では程度の差はあるが依然として司法の行政化問題が存在している。それは主に次のような面にあらわれている。審理と裁判を分離し、審理を行う者が裁判せず、裁判を行う者が審理しないこと、審理、裁判に関わる仕事の内部には幾重もの審査許認可が存在して、権力と責任がはっきりしないため、誤審事件の責任追及が行いにくいこと、上級と下級の法院間における行政化による報告・許認可は、審理・裁判法院の独立に影響を及ぼしていること、である。必ず司法の法則に従って、司法責任制の健全化に力を入れ、司法権と司法の行政事務権と司法権、監督権の関係をすっきりさせるとともに、権限と責任が統一した、権限と責任のはっきりした司法権力運行の仕組みの健全化をはからなければならない。

 裁判官、合議制法廷の案件処理責任制を確立して、検察官の主体的地位を際立たせた案件処理責任制を模索、確立して、審理を行う者に審判をさせ、審判を行う者の責任のもとで、権限があれば必ず責任があり、権力の運用は監督を受けるようにするとともに、職務上の過失に対する問責、法律違反に対する追及を行わなければならない。

 裁判委員会制度を改革し、裁判委員会は主として事件における法律の適用の研究を行い、院長、副院長、裁判委員会の委員あるいは裁判委員会が直接に重要かつ複雑な、難事件を審理する制度を推し進め、充実させる。

 4級法院の機能の位置づけを明確にし、1審の是非を公正に判断して紛争収拾をはかり、2審が案件を審決済みにし、再審法院が審判に誤りがあれば追及し、最高人民法院が法律を統一的かつ正しく実施するよう保証する機能を発揮させる。上級と下級の法院の審理・裁判法院への監督をいっそう規範化させ、実行に移し審理・裁判法院の独立を確保する。

 (4)司法の公開を深化させる

 「日光は最も良い防腐剤である」。司法の公開を深化させ、司法の権力をオープンな形で運用し、司法の取り組みに対する公衆の知る権利を保障するとともに、効果的な監督を強め、司法の公正を促進し、司法能力を高め、司法の公信力を築き、人民大衆の司法の取り組みに対する満足度を高める。

 審理・裁判の公開の促進に力を入れなければならない。法律の規定で公開すべきでないものを除いて、すべて公開審理・裁判とすべきである。法廷での審判は審理・裁判における重要な部分であり、訴訟の双方が証拠提出、質証、弁論を通じて権利を主張する場でもある。法廷での審判の全過程を同時に録音・録画し、記録文書として残すべきである。法廷審判の全過程の録音・録画は、審理・裁判に関わる人員の審理・裁判活動を制約し、訴訟の参与者が法律に基いた権利行使を促進するのに有利であるだけでなく、上訴・審査、監督・審査の事件判定が公正審理であるかどうか、その原資料と客観的根拠を提供するのに有利である。最高人民法院は「中国審判文書ネット」を立ち上げて、4級人民法院の法律に基いて公開可能となった発効済み審判文書のすべてを逐次インターネットにアップロードし、審判文書の道理にかなう性格を強めた。

 検察事務公開の促進に大いに力を入れなければならない。提訴せず、逮捕せず、起訴せず、控訴しない決定書など検察機関の終結性をもつ法律文書の公開制度を確立し、法律文書の理性的性格を強める。当事者がインターネットを使ってリアルタイムに告発、告訴、申し立ての受理について、取り扱い過程および案件処理の流れや情報に関する問い合わせができるようにする。公開審査、公開返答制度の健全化をはかり、事件の事実、準拠法の面で比較的大きな論争があり、あるいは現地で比較的大きな社会的影響があるものについては、起訴とせず、検察機関の処理・決定に再審を申し立てる事件については、検察機関自ら進んで、もしくは再審の申請に応じて公開審査、公開返答を行う。

 警務の公開、監獄関連業務の公開を絶えず推し進めなければならない。公開の仕組みを一段と充実させ、公開の方式の革新をはかるとともに、公開のルートをスムーズなものにして、現代的な情報手段に頼って各項目の公開措置を実行に移すよう確保し、公開をもって公正の実現を促す。

 (5)人民陪審員制度を改革し、人民監督員制度の健全化をはかる。

 人民陪審員制度は人民大衆が法律に基いて司法に参与し、監督する最も重要で、最も直接的な形式である。人民陪審員は大衆からなっており、大衆を代表し、人民の実情を伝え、民意を知るという優位性を持っており、職業司法官と思考・知識面において相互に優位性を補完しあうことや、矛盾や紛争を効果的に調停するのに有利である。また、審判の透明度を高め、司法の公正を促進し、司法の交信力を高めるのにもプラスとなる。長年にわたって、人民陪審員制度は積極的役割を発揮したが、「法廷に駐在する陪審員」、「定員外の司法官」、「陪従しても審理せず」、「審理しても議決しない」などの現象は程度の差はあるが依然として存在しており、制度設計を更に充実させる必要がある。人民陪審員の人数と選任源の幅を広げ、無作為抽出の仕組みを確立し、人民陪審員が審判に参加する権利を保障するとともに、陪審を行う事件の割合を高め、的確に人民陪審員制度の役割を発揮させる。

 人民監督員制度は大衆が最も関心を寄せ、監督が比較的弱体化した職務犯罪の調査、処分から着手し、検察権、特に職務犯罪の偵察権を正しく行使することを確保するために打ち立てた社会監督メカニズムであり、人民大衆による司法参与の重要な形式である。2003年、正式に人民監督員制度の試行作業をスタートさせ、現在すでに全国の検察機関で全面的に推進している。人民監督員制度をさらに健全化させ、人民監督員制度の規範化を推し進め、人民監督員の選抜・任用方法を科学的に設けるとともに、事件の監督範囲を広げ、監督の手続きを規範化し、充実させ、監督がもたらす実際の効果を高め、審査・摘発作業の科学的発展を促進する。

 (6)減刑や仮釈放、服役中の重病による一時出所の手続きを厳格に規範させる。

 減刑や仮釈放、服役中の重病による一時出所は刑罰を変更して実行する重要な制度であり、減刑は間違いなく悔い改めているか、手柄を立てた犯罪者に対し、もとの判定で言い渡された刑罰を適切に軽減することである。仮釈放は悔い改めている態度を確実に示し、もう社会に危害を及ぼしえない犯罪者に対し、条件を付けて早めに釈放することである。重病による服役中の一時出所は重い病をわずらった犯罪者に対し、関係機関の許可を得て、保証人を立てて監獄外で治療し、その刑罰についてはしばらくの間刑務所外での服役とする形式である。減刑や仮釈放、重病による服役中の一時出所は寛大さと厳しさを併せ持った刑事司法政策の実施過程を具体的に示したものであり、犯人の改造を激励し、犯人が社会復帰して社会に馴染むよう促するうえで、重要な意味がある。現在、刑罰変更の実行において、たとえば、一部の犯人は実際の服役期間が短過ぎる、職務犯罪者の減刑する期間の間隔が短く、幅が広いため、仮釈放や服役中重病のため一時出所するの割合が高かった等といった問題がいくつかある。そのため、これらに世論が関心を持つようになっており、司法の公正を問う疑問の声も出てきているため、減刑や仮釈放、重病による服役中の一時出所制度を一段と充実させなければならない。

 申請から裁定、決定といった各部分で、減刑や仮釈放、重病による服役中の一時出所の手続きについて厳格に規範化し、特に裁定、決定に関する手続きの監督に対する制約を強化し、執行機関、人民法院、人民検察院が減刑や仮釈放、しばらくの間刑務所外での服役になる場合、ネット上で協力して案件を処理する方法を実行し、刑罰変更の部分での腐敗現象の発生を防ぐ。仮釈放、しばらくの間刑務所外での服役に対する管理制度の健全化をはかるとともに、管理責任を強化し、抜け穴や逃げ道をつくったり、再び違法犯罪を犯すのを防止し、矯正の効果を高める。

 三、 終始司法体制改革の深化という基本原則に従わなければならない

 司法体制改革はわが国の政治体制改革の重要な構成部分であり、政治性、政策性、法律性が非常に強い。改革が誤った道に入らないよう、また、回り道に入らないように、中国の特色ある社会主義の司法制度が終始改革開放の流れに従って健全な発展を遂げるようにするとともに、終始法体制づくりのペースに沿って絶えず前進し、終始人民大衆の公平・正義への呼びかけに合わせて深めるようにしなければならない。そのうえで以下の基本原則の遵守を堅持しなければならない。

 (1)党の指導を堅持する

 党の指導は、社会主義法治の根本的な保証である。党の指導を堅持することは、わが国の司法体制の政治的優位性であり、かつ重要な特徴であり、司法体制の改革が難関攻略するうえでの重要な保障でもある。司法体制改革を深化させるにあたっては、必ず党中央の指導の下、科学的政策決定、民主的政策決定、法律に基く政策決定を堅持し、党の指導、人民が主人公となることと法律に基いて国を治めることの有機的統一を実現しなければならない。

 (2)中国の特色ある社会主義の方向を堅持しなければならない。

 中国の特色ある社会主義を堅持することは、現代中国が発展し、進歩を遂げるうえでの根本的方向であり、司法体制改革において必ず堅持しなければならない基本思想である。司法体制の改革を深めるにあたっては、必ずゆるぐことなく中国の特色ある社会主義の法治の道を歩まなければならず、閉鎖的で硬直化した古い道を歩まず、容易に旗印を変えるというような邪道を歩んではならない。また、必ず人民民主主義独裁の国体と人民代表大会制度の政体に合ったものにし、社会主義の法治理念を導きとすることを堅持し、中国の特色ある社会主義の司法制度の自己改善とその発展を推進しなければならない。

 (3)人民の主体的地位を堅持する

 中国の特色ある社会主義事業は幾億万もの人民が自ら行うべき事業である。大衆路線は党の生命線であり、根本的な活動路線である。司法体制改革は政治体制改革の重要な構成部分として、必ず人民大衆にしっかりと依拠しなければならず、人民の創造精神を尊重するとともに、人民大衆の意見に十分に耳を傾けて、人民大衆の願望を十分に体現し、大衆から最も強く不満を抱いた問題から着手し、人民が最も関心を寄せる、最も直接的、最も現実的な公平・正義に関する問題を解決しなければならない。自ら進んで人民大衆の監督、判定を受け、人民が満足するか否かを、改革の成功と失敗をはかる物差しとしなければならず、真に人民のために改革し、人民に依拠した改革を行い、改革の成果を人民が分かち合えるようにしなければならない。

 (4)中国の国情から出発することを堅持する

 ある国家がどのような司法制度を実行するかは、結局のところ、その国家の国情により決定される。世界にはどの国にでも適用可能な司法制度存在しないし、存在し得ない。わが国の司法体制改革は、必ずわが国が今も社会主義初級段階にあり、しかも長期にわたるという基本的国情に立脚して、人類の法治文明に関する有益な成果を真剣に研究したうえで、それを吸収し、参考にするとともに、外国の司法制度と司法体制をそのまま引き写さないようにしなければならない。また、時代とともに前進し、現段階を飛び越えた高すぎる要求を出してはならない。

 (5)司法の法則の順守を堅持する

 司法は固有の法則性があり、それを正しく認識し、把握し、それに従って運用して、はじめて予期の改革目標を実現することができる。司法体制改革は司法の客観的法則に従って、権限と責任の統一、権力の制約、公開・公正、手続きの尊重、高効率の、権威あるといった要求を体現してはじめて、公正で、高効率の、権威ある中国の特色ある社会主義の司法制度を構築することができるのであり、人類の法治文明を発展させ、進歩させるうえで然るべき貢献をすることができるのである。

 (6)法律に基いて秩序立たせることを堅持する

 司法体制改革を深化させることは司法の権力の調整と司法資源の配置に関わっているため、重要である。そのため、法律に基いて秩序立てて推し進めていかなければならない。各種の改革措置を実行する過程において、実践の中で積極的に模索するとともに、中央の統一的な配置に従って着実に実行しなければならない。重要な改革であれば、みな法律的根拠が必要で、法律の改正が必要ならば、法律制度を充実させてから、全面的に繰り広げなければならない。ある重要な改革措置が、法律の授権を得る必要がある場合、法律の手続きを踏まえて行わなければならず、法制の統一と権威を確保しなければならない。

 (7)統括的調整を堅持する

 司法体制改革は必ず司法機関が法律から与えられた職責と使命を履行する能力の向上に立脚点をおき、中央と地方、司法機関とその他の部門、当面と長期間、司法機関の上級機関と下級機関の間、司法機関の間の関係を統括的に調整して、公正と効率両方に配慮を加え、各種の改革措置がわが国の経済社会の発展、民主政治の建設、公民の法律面での素養に関する要求に適応するよう確保するとともに、司法の職業的特徴に適応し、全体的計画、科学的論証を行って、改革を積極的かつ穏当に推し進めるよう確保しなければならない。

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