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孔鉉佑駐日大使,新型コロナウイルス肺炎の感染予防抑制について「読売新聞」の単独取材に応じる

発表時間:2020-03-09 | 字体拡大 | 字体縮小

著者: | 出所:http://jp.china-embassy.org2020-2-06


 
 
 
 

2月4日、孔鉉佑駐日大使は日本の「読売新聞」の単独インタビューに応じた。大使の発言は全文次の通り。

一、 中国側の新型コロナウイルス肺炎感染への対応措置について説明していただきたい。また、感染の流行状況をどう見るか。

孔大使:中国政府は一貫して人民大衆の生命の安全と身体の健康を第一義に置き、新型コロナウイルス肺炎の感染状況を高度に重視し、感染の予防抑制を当面の取り組みの重点中の重点としている。習近平主席は何度も重要指示を出し、中央に新型コロナウイルス肺炎感染対策指導小組を設置し、中央政治局常務委員会は会議を2度開いて特別テーマの研究と手配を行った。中国の党と政府の強力な指導の下、われわれは制度面での優位性を発揮し、挙国体制を確立し、中央から地方に至る全方位の、重層的な予防抑制体系を作り上げ、果断な対応措置を取り、各方面の取り組みが効果的に進んでいる。

われわれは疾病の感染源の特定と科学研究の難関攻略を進めている。専門家を集め、比較的短期間で病原体を究明し、一週間余りで新型コロナウイルスを初歩的に特定するとともに、ウイルスの感染源の特定、ワクチンの研究開発分野で科学技術の難関攻略を展開している。医療資源を統一的に手配し、患者の救急治療に全力を尽くす。感染予防のガイドラインを示し、人々の自己防護能力を高めている。

われわれは公開性と透明性をもってタイムリーに情報を公開している。感染動向を全面的に理解、把握し、科学性、公開性、透明性と事実に即した責任ある姿勢にのっとり、権威ある情報をタイムリーに対外発信するとともに、世界保健機関(WHO)および関係諸国・地域に進んで通知し、一部のウイルス株の全ゲノム配列を共有している。

われわれは重点地区の予防抑制への取り組みに力を入れている。湖北省、特に武漢市を感染予防抑制の重点中の重点とし、予防・治療の力を感染との戦いの第一線に集中させる。中央は湖北の感染予防抑制を支援するため10億元を緊急支出した。10日間で「火神山」、「雷神山」という2カ所の臨時専門病院を建設し、患者の集中収容治療を実現した。同時に、全国規模での合同予防抑制を強化して、ネットワーク化による徹底した管理を行っている。

われわれは正常な経済・社会秩序をしっかりと守っている。市民の生活必需品の供給を確保し、物資の配分と市場の供給を強化し、感染の予防抑制にみられるさまざまな矛盾と問題を適切に処理して、社会の安定を守っている。中国政府は国内に在留する外国人の健康上の安全を非常に重視しており、彼らの合理的な懸念を速やかに解決している。

WHOと多くの国は中国の予防抑制措置を十分に認め、高く評価している。テドロスWHO事務局長は、中国のウイルス発見のスピードは記録的なものであり、情報共有を迅速かつ透明に行い、迅速かつ効果的な措置を取り、他の国への感染拡大が大幅に軽減されたと話した。また、感染と戦う中国の努力は尊重と称賛に値し、学ぶべきものだとした。実際、中国が講じた多くの予防抑制措置は緊急事態への対応に関する要求をはるかに超えたものであり、各国の防疫業務に新たな手本を示した。日本の茂木敏充外相は、中国の政府と国民は習近平主席の強力な指導の下、感染拡大を断固として封じ込めるために積極的かつ強力な措置を取っており、日本側はこれに敬意を表すると述べた。

感染は現在も広がっており、予防抑制の取り組みはカギとなる段階に差し掛かっているが、同時にいくつかのプラスの動きも現れており、全体として予防、抑制、治療は可能だ。中国には力を集中して大きな事柄に取り組む制度的な優位性、重症急性呼吸器症候群(SARS)などの公衆衛生上の緊急事態に対応する豊かな経験、それに先進的な防疫・治療手段があるほか、日本を含む国際社会の力強い支援と無私の援助がある。われわれには今回の感染予防・抑制・阻止の戦いに速やかに打ち勝つ能力が完全にあり、その自信もある。

二、 在日中国大使館と領事館はこれまでに、武漢出身の在日中国公民の動向の把握および感染への対応面でどのような措置を講じたか。

孔大使:感染が発生して以降、在日中国大使館はいち早く緊急対応メカニズムを発動し、感染対策指導小組〈チーム〉を立ち上げた。私がチームリーダーを務め、各部門の責任者が参加して、いわば全館が一丸となる態勢を構築した。主な活動は、感染に関する権威ある情報の収集・発表、日本にいる中国公民への領事保護協力の提供、国内および日本の関係部門との意思疎通・調整の強化などだ。6カ所の在日総領事館も相応の緊急対応メカニズムを同時に発動し、大使館と領事館の間で緊密な連動が保たれている。

大使館のウェブサイトには「新型コロナウイルス肺炎感染対応情報」の特設サイトが急きょ開設され、日本語版も同時にオンラインに掲載された。このサイトは在日中国人や日本各界に対し、感染動向、大使館の措置および、中国側に対する日本各界の援助を含め、中日の協力による感染阻止の状況を紹介するとともに、手軽で実用的な予防抑制ガイドラインを広めている。

われわれは幾つかの領事注意喚起を相次いで出し、日本にいる中国公民に早めに防護措置を講じるよう要請し、体調不良であれば、速やかに医者に診てもらうよう指導している。湖北省出身の在日中国公民の情報や要望を全面的に確認、フォローし、感染が確認された患者などに対し積極的な領事協力を行っている。特に感染の影響で、湖北行きの航空便が相次いで欠航となり、湖北出身の観光客は帰郷を心待ちにしている。われわれは航空会社と協力してチャーター便を緊急手配し、湖北の同胞111人が羽田空港から武漢へ直行できるよう支援した。2機目のチャーター機は2月5日に大阪から武漢へ向かう。これらの措置は「人民のための外交」で人々の不安や困難を取り除くという中国政府の責任ある態度を十分に体現している。

また、日本の外務省、厚生労働省、出入国在留管理庁、観光庁、航空局などの機関とのホットラインを維持し、感染情報を速やかに共有し、予防抑制措置を協議している。このほかにも、中国に在留する日本人の安全を積極的に保障し、彼らの合理的な懸念を速やかに解決するとともに、日本政府がチャーター機を派遣して湖北にいる日本の公民を帰国させることに協力している。さらに特別手続きを取り、武漢に来ている日本側の関係者160人にビザを緊急発給した。

三、 中国政府は日本側の関連措置をどう評価しているか。日中関係が改善を続ける中、中国政府は日本側にどのような協力を要請しているのか。

孔大使:重大な災害に遭うたびに、中日両国は互いに救援に駆け付け、互いに励まし合い、見守ってきた。今回の中国での感染は日本の社会各界からも広く注目されている。茂木敏充外相、菅義偉官房長官らは、中国に全面的な協力を提供すると何度も表明している。自民党の二階俊博幹事長は次のように述べている。私たちの親戚や隣人が病気になったら、必ず援助の手を差し伸べなければならない、と。首相官邸や外務省の同僚たちは、中国から要請があれば、日本は全力で協力する用意があると私に言った。

日本政府はマスク、防護服、ゴーグルなどの緊急物資を調達するとともに、武漢へのチャーター便でそれを現地に運び、急場をしのいだ。日本で感染が確認された中国人患者に対し、日本の医療機関は直ちに救急治療を行い、手厚く看護している。日本は積極的に運航の便宜を図り、連夜多くの臨時旅客・貨物輸送のチャーター便を認めた。北から南まで、日本各地の自治体は善意を示し、中国の友好都市に物資を進んで寄贈している。特に大分市は武漢市の友好都市として、金品を進んで寄付し、苦難の時に真心が示された。日本の企業は気前よく寄付し、友好団体と一般市民が先を争って思いやりの心をささげ、感染と戦う中国人民に貴重な支援と無償の援助を提供しており、まさに雪中に炭を送るものだと言えよう。われわれはこれを高く評価し、心から感謝している。

日本の慈善行為は両国社会に大きな反響を引き起こした。二階幹事長の態度表明に関するSNS「ウェイボー」のクリック数は2000万件を超えている。日本のネットユーザーの多くは、在日中国大使館のSNSアカウントにコメントを寄せ、武漢にエールを送り、中国を励ましている。漢語水平考試(HSK)日本事務局が支援物資に添えている「山川異域、風月同天」という漢詩の一節は、中国のSNS上で「一衣帯水」の中日が互いに見守り、助け合うことについての活発な議論を巻き起こした。感染は両国人民を疎遠にさせるのではなく、むしろ互いの絆をより強固にしている。

われわれは、日本が検疫や入国などの面で一定の制限措置を取っていることにも留意している。目下、両国の人的往来は延べ1000万人を超え、貿易額は3000億ドルを超えており、友好都市は250組以上で、すでに持ちつ持たれつの局面を形成している。テドロス事務局長は、中国への渡航や貿易の禁止措置を取ることに賛成せず、さらには反対であり、WHOは中国が感染に打ち勝つことに対し十分な自信を持っていると特に強調した。われわれは、日本が客観的で公正な態度に基づき、WHOのこの明確な勧告を尊重し、中日間の人的往来と経済貿易協力が妨げられないようにすることを希望する。

グローバリゼーションの時代、各国の運命は緊密につながり、喜びと悲しみを分かち合っている。公衆衛生上の緊急事態に独断専行で対応できる国などなく、また、一国の力だけに頼ってそれに対応できる国もない。中国は高度に責任ある態度に基づき、積極的に国際協力を展開していく。衛生・健康と感染症予防治療の分野の協力を深めることは、中日両国の指導者が合意した重要な共通認識だ。日本と相互学習・参照を行い、それぞれの長所を生かし、引き続き情報・政策面の意思疎通と技術交流を強化し、新型コロナウイルスの発症メカニズム、病原検査、特効薬やワクチンの研究開発などで協力を進め、手を携えて感染の予防抑制にしっかり取り組み、両国人民の健康上の安全および地域と世界の公衆衛生上の安全を守っていきたい。

四、 感染対策措置の影響で、中国国内では生産中止や操業停止になっている。隣国として、日本は感染流行が中国経済に深刻な影響を及ぼすことを懸念している。中国経済への影響をどう思うか。

孔大使:中国経済に対する感染の影響は短期的かつ部分的なものであり、現在は主に交通輸送、文化観光、ホテルや飲食、映画・娯楽などの消費面に現れている。その一方、オンラインでのショッピング、レストラン予約、娯楽といったデジタル経済の新業態は非常に活発だ。現在、具体的な形でより多く現れているのは消費の遅れであって、消費需要の実質的な縮小または消費水準の顕著な低下ではない。感染が収まれば、それまで市場で抑えられていた需要が一気に出てくるだろう。中央政治局常務委員会は2月3日、今年の経済社会発展目標の実現を目指すため、次の段階の経済運営についての手配を行った。

長い目で見れば、長期的に上向き、質の高い成長を遂げるという中国経済のファンダメンタルズはいささかの変化もない。内外の環境から見ると、経済的に発展する中でプラスの要素が増しており、経済の内的強じん性が高まっている。われわれは感染の影響に対応し、経済の長期にわたる安定した発展を維持する自信が完全にあり、その能力もある。同時に、われわれは引き続き法に基づいて中国にある日本企業の合法的権益を保護し、彼らの合理的懸念をタイムリーに解決していく。

五、 日本国内では、習近平主席の訪日スケジュールが感染流行の影響を受けるかもしれないという懸念があるが、これについてどう思うか。習主席が訪日する際に発表される第5の政治文書について、日中両国政府は意思疎通を加速させているが、どのような内容を盛り込むべきだと考えるか。

孔大使:習主席は昨年、大阪で安倍晋三首相と会談した際、今春日本を国賓として訪問することで原則的に合意した。訪日が順調に実現すれば、中国の国家元首として12年ぶりの公式訪日、また、習主席が中国の国家主席に就任して以来初の公式訪日となり、必ずや中日関係の発展に深遠で広範な影響を及ぼし、両国関係発展史上、里程標的意義を持つものとなろう。習主席の訪日に関する具体的事項について、中国側は前向きの検討を進めており、現時点で延期されるとは聞いていない。当面の急務は、感染阻止の戦いを立派に進め、生産と生活の秩序を一日も早く回復し、習主席の訪日に向けた良好な雰囲気作りをすることだ。習主席の訪日については引き続き日本側と緊密な意思疎通を保ち、各方面の準備作業をしっかりと行っていきたい。

1972年の国交正常化以降、中日は四つの政治文書に調印し、これらは両国関係の政治的基礎を構成している。関連の原則と精神の導きの下、中日関係は長足の発展を遂げ、両国と世界の人民にも重要な幸福をもたらした。新たな時代的背景の下で、中日関係にはより多くの中身と価値が与えられており、これは双方が真剣に考えるに値する。両国の外交当局は関連の具体的な内容について検討することができる。条件が熟したなら、これらの共通認識を何らかの形で具体的に示すことが考えられる。第5の政治文書に調印するかどうかについては、中国側はオープンな姿勢を取っている。

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