第15回G20首脳サミット第1セッションでの習近平主席の演説<全文>

出所:http://www.china-embassy.or.jp/jpn/zgyw/t1834513.htm | | 発表時間:2020-11-23

1.jpg

  中国の習近平主席が21日、第15回20カ国・地域(G20)首脳サミット第1セッションで行った「力を合わせて感染症と戦い、共に未来を切り開こう」と題する演説〈ビデオメッセージ〉の全文は次の通り。

  尊敬するサルマン国王

  同僚の皆さま

  まず、議長国であるサウジアラビア、特に国王陛下ご自身が今回のサミット開催のために大きな努力を払われたことに心より感謝申し上げる。

  間もなく過ぎ去る1年に、人類はこの100年で最も深刻な感染症のパンデミック(世界的大流行)を経験し、100万を超える生命が失われ、世界経済が不況に陥り、社会の暮らしが大きな痛手を受けており、その影響は2008年に起きた世界的金融危機〈リーマンショック〉をしのぐものだ。

  感染症が発生すると、G20は迅速に行動し、首脳特別サミットで予防・制御協力の強化、薬品とワクチンの開発、経済・金融の安定、産業チェーン・サプライチェーンの円滑化、発展途上国の債務負担軽減を打ち出した。これらの措置は世界に自信を与え、グローバルな感染対策協力の方向をリードした。新型コロナウイルス肺炎流行に対応するこの世界規模の戦役において、G20は再び、なくてはならない重要な役割を果たした。

  世界的な感染はいまなおまん延し、一部の国が第2波の脅威に直面しており、各国の感染対策、経済安定、民生確保の道は任重くして道遠しの状態だ。これと同時に、世界の枠組みの変化が加速し、一国主義、保護主義が高進し、グローバルな産業チェーン、サプライチェーンが打撃を受けている。われわれは常態化した感染予防・制御に取り組むと同時に、経済の安定と回復に努力しなければならない。G20が以下のような面で一段と注力するよう提案する。

  第一、グローバルな感染対策防火壁〈ファイアーウォール〉の構築。われわれはまずそれぞれの感染予防・制御に取り組み、交流・協力を強化するとともに、他の国に支援の手を差し伸べるべきだ。少なからぬG20メンバーがワクチンの開発と生産で前向きの進展を収めており、行動を急ぐとともに、世界保健機関(WHO)が資源を調整・統合し、ワクチンを公平かつ効果的に分配するのを支持すべきだ。中国は新型コロナウイルス・ワクチンの国際協力を積極的に支持、これに参加し、すでにCOVAXに加入しており、ワクチンの研究開発・生産・分配など各段階で協力を強化したい。われわれは約束を果たし、他の発展途上国に援助と支援を行い、ワクチンを各国人民が入手でき、使用できる公共財にするために努力する。

  第二、世界経済の流れの円滑化。感染の予防・制御を前提に、安全で円滑なグローバル産業チェーン、サプライチェーンを回復させ、関税の引き下げと障壁の削減を進め、重要な医療物資貿易の自由化を検討すべきだ。政策、基準の連結〈ドッキング〉を強化し、「ビジネストラック」を築き、人の秩序ある往来を円滑にすべきだ。中国はPCR検査の結果を基にした、国際的に行われている2次元コード形式の健康コードの国際的相互認定の仕組みづくりを提起し、より多くの国が参加するよう希望する。同時に、われわれはG20が人的往来と貨物流通の円滑化について引き続き制度的協力を進め、グローバルな協力ネットワークを築くことを支持する。

  第三、デジタル経済後押し機能の発揮。感染症によって5G、人工知能(AI)、スマート都市などの新技術、新業態、新プラットフォームが大きく盛り上がり、ネットショッピング、オンライン教育、遠隔医療などの「非接触型経済」が全面的にスピードアップし、経済発展の新しい道筋を与えている。われわれは変化に進んで対応し、危機を好機に変え、構造改革を深化させ、科学技術革新〈イノベーション〉とデジタル化への変革によって、新しい成長エネルギーを生み出すべきだ。われわれはデジタル経済の発展に資する環境を整え、データセキュリティーの協力を強化し、デジタルインフラの整備を強化し、各国のテクノロジー企業のために公平な競争の環境を作り出すべきだ。同時に、デジタル経済が雇用、租税および社会的弱者群に挑戦もたらす問題を解決し、デジタルデバイドを埋めるようにすべきだ。

  第四、一層包摂的な発展の実現。われわれは発展途上国が感染症のもたらす困難を克服するのを引き続き助けるべきだ。中国は困難を克服して、G20の債務返済猶予イニシアチブを全面的に実行に移し、総額は13億㌦を超えている。中国は債務返済猶予イニシアチブの期間延長の決定を支持し、引き続き各国と共に全力で実行に移すとともに、苦境にある国への債務返済猶予・債務削減の度合いを強め、金融機関が市場原理に基づき進んで新規融資を行うことを奨励する。われわれは女性がコロナの影響を脱けだすのを助け、女性の特別な必要性に目を向け、「北京宣言」と「行動綱領」を実行に移すべきだ。中国は2025年に再度世界女性サミットを開いて、ポストコロナ時代の女性事業の発展に役立てることをすでに提唱している。このほか、われわれは食糧安全保障への挑戦を大いに重視し、国連が来年世界食糧サミットを開くのを支持すべきだ。中国は適当な時期に国際食糧損失削減大会を開くことを提唱し、G20メンバーと関連国際機構の積極的な参加を歓迎する。

  同僚の皆さま

  新型コロナウイルス肺炎の流行は一大挑戦〈試練〉であり、グローバルガバナンスの弱点を浮き彫りにした。国際社会はポストコロナ時代の国際秩序とグローバルガバナンスに強い関心を寄せ、またG20がどのような役割を果たすか注目している。私はこう考える。われわれは共に協議・共に建設・共に享受する原則に従い、多国間主義を堅持し、開放性・包摂性を堅持し、互恵協力を堅持し、時代と共に進むことを堅持すべきである。G20はこの面でより大きなリード作用を果たすべきである。

  第一に国連中心の国際システムを強化する。国連は国際問題を協力して処理するための中核的仕組みだ。各国は国連の権威と地位を揺るぎなく守り、国連憲章の目的と原則を固く守り、国際法を基礎とした国際秩序を守るべきである。われわれは国連がより効果的に全世界のコンセンサスをまとめ、全世界の資源を動員し、全世界の行動を調整し、世界の平和と発展のためにより大きな役割を果たすことを支持する。

  第二に経済グローバル化のガバナンス構造をより完全にする。ルールを基礎にした、透明性、非差別性、開放性、包摂性のある多国間貿易体制を揺るぎなく守り、世界貿易機関(WTO)の改革を支持し、その有効性と権威性を強め、自由貿易を促進し、一国主義と保護主義に反対し、公平な競争を守り、途上国の発展の権利・利益と空間を保障すべきだ。引き続き国際金融システムを改革し、国際通貨基金(IMF)の第16次クオーター一般見直しを予定通り完了し、特別引き出し権の機能を拡大し、グローバルな金融安全ネットワークをしっかり築き、発展途上国の代表性と発言権を高めるべきだ。経済グローバル化が受けている挑戦と向き合って、経済グローバル化を一層開放的、包摂的、インクルーシブ、バランシング、ウィンウィンの方向へ発展させるべきだ。

  第三にデジタル経済の健全な発展を後押しする。データセキュリティー、デジタルデバイド、プライバシー、道徳倫理などの面に対する各国の強い関心に対して、われわれは人間中心の、事実に基づく政策誘導にのっとって、革新を奨励し、相互信頼を築き、国連がこれについて指導的役割を果たすのを支持し、手を携えて開放性、公平性、公正性、被差別性に基づくデジタル発展の環境を築くようにすべきだ。先ごろ、中国は「グローバル・データセキュリティー・イニシアチブ」を提起した。われわれはこれを基礎に、各国とグローバル・デジタル・ガバナンスのルールを検討し、策定することを願っている。中国はAIをめぐる対話強化を支持し、適当な時期に会議を開いて、G20のAIに関する原則の実行を後押しし、グローバルなAIの健全な発展をリードすることを提唱する。G20はさらに、オープンで包摂的な方式によって、法定デジタル通貨の基準と原則を検討・策定し、国際通貨制度を共同で発展させる過程で各種リスクの挑戦に適切に対応すべきだ。

  第四にグローバルな挑戦への対応能力を高める。目下、最も差し迫った任務は世界の公衆衛生システムを強化し、新型コロナウイルス肺炎とその他の感染性疾患を予防・抑制することだ。WHOの機能を強化し、パンデミックの防止・対応を推し進め、人類の健康の安全を守る垣根をしっかりつくり、人類の衛生健康共同体を築くようにすべきだ。生態環境分野の国際協力の度合いを強め、地球というわれわれの生存のための共同の故郷をしっかり保護すべきだ。不必要な、使い捨てプラスチック製品の生産と使用を一段と減らすべきだ。来年の国連第26回気候変動締約国会議と第15回「生物多様性条約」締約国会議を契機に、より多くのコンセンサスをまとめ、より大きな合力を形成して、クリーンで美しい世界を共同で建設し、人と自然の調和・共存を実現するようにすべきだ。中国は野生動物の不法取引の全面禁止、野生動植物保護の交流・協力強化を呼びかける。

  同僚の皆さま

  中国は感染対策闘争の重大な戦略的成果を収めたうえで、経済の着実な前進を実現した。先ごろ、中国共産党第19期中央委員会第5回総会は、第14次5カ年計画〈2021~25年〉の策定に関する提案を審議・採択し、小康〈ややゆとりのある〉社会全面完成の奮闘目標が予定通り実現されること、来年中国が近代的社会主義国家全面建設の新たな征途を開くこと、われわれが新たな発展段階を科学的にとらえ、新しい発展理念を揺るぎなく貫いて、国内大循環を主体に、国内国際のダブル循環が相互に促進する新しい発展の枠組みを積極的に築くことを打ち出した。新しい発展の枠組み構築は決して閉鎖的で内向きのものではなく、供給と需要の両サイドから同時に注力し、生産・分配・流通・消費各段階の流れを全面的によくして、経済の強靱(きょうじん)性と競争力を高めると同時に、より高い水準の開放型経済の新体制をつくろうとするものだ。これは各国に中国経済の質の高い発展の成果を共有するより多くのチャンスをもたらすだろう。

  中国は終始変わらず世界平和の建設者、グローバルな発展の貢献者、国際秩序の擁護者になる。われわれはすべての国と相互尊重、平等互恵を基礎に平和的に共存し、共に発展し、対話で意見の食い違いを埋め、交渉で争いを解消し、世界の平和と発展のために共に努力することを願っている。

  同僚の皆さま

  「沈舟(しずみたるふね)ノ側畔(かたわら)千帆(せんぱん)過(す)グ、病樹(びょうじゅ)ノ前頭(ぜんとう)ハ万木(ばんぼく)ノ春(はる)ナリ」〈注〉という。ポストコロナ時代の世界は不死鳥のごとくよみがえり、再び光り輝くにちがいない。手を携えて努力し、一層すばらしく幸福な生活を築き、人類運命共同体の構築を共に図ろうではないか。

  注唐・劉禹錫の詩より。困難、挫折や不本意、不愉快ことはすべて一時的、局部的なもので、最後には塵埃(じんあい)と化し、雲散霧消することのたとえ。

版权所有中央党史和文献研究院

建议以IE8.0以上版本浏览器浏览本页面京ICP备11039383号-6京 公网安备11010202000010